こんにちは、FP-kawaです。このブログでは、経済的自立と早期リタイア、いわゆる「FIRE」を目指すサラリーマンの皆さまに向けて、お金に関する様々な情報をお届けしています。
連載第4回となる今回は、現在進んでいる歴史的な制度の転換をより深く理解するために、これまでの労働市場で常識とされてきた「従来の年収の壁」についておさらいしていきます。
パートやアルバイトで働く際、「103万円」や「130万円」に収まるようにシフトを調整した経験がある方も多いのではないでしょうか。なぜこれらの数字が基準となり、働き控えの原因となってきたのか、過去の前提知識を改めて整理してみましょう。
税金の壁の代名詞だった「103万円の壁」
これまで、パートタイム労働者などの就業調整の最もわかりやすい指標とされてきたのが、税制上の「103万円の壁」です 。
2024年分までの長きにわたり、所得税が課税されない給与収入の上限は103万円に据え置かれていました 。この数字は、全納税者に適用される「基礎控除額48万円」と、給与所得者に適用される「給与所得控除額55万円」を足し合わせたものです 。
年収が103万円を超えると、超えた部分に対してご自身の所得税が発生するだけでなく、配偶者の扶養に入っている場合は、扶養する側の税負担を軽くする控除の枠が狭まり始める基準でもありました 。
そのため、税金を払わずに済むギリギリのラインとして、多くの人がこの103万円を一つの目標にしていました。
社会保険の加入義務が生じる「106万円の壁」
手取り額に直結する社会保険の壁として近年注目されてきたのが「106万円の壁」です。
これは、短時間労働者がご自身の勤務先で社会保険(健康保険・厚生年金保険)に加入する義務が生じる基準です 。
具体的には、「週の所定労働時間が20時間以上」「月額賃金が8.8万円以上(年収換算で約106万円)」「雇用見込みが2か月超」「学生でないこと」という4つの要件を満たすと、社会保険への加入が義務付けられていました 。
また、この適用範囲は企業規模によって段階的に拡大されており、2024年10月の時点では「従業員数51人以上」の企業で働く方が対象となっていました 。
扶養の最終防衛ライン「130万円の壁」
「106万円の壁」の対象外となる規模の事業所で働く労働者や、週20時間未満の労働者にとって、配偶者の社会保険の被扶養者(第3号被保険者等)に留まるための基準となっていたのが「130万円の壁」です 。
向こう1年間の年収見込みが130万円以上になると、無条件で配偶者の社会保険の扶養から外れ、健康保険料や厚生年金保険料の支払い義務が発生します 。
これを超えると、ご自身で勤務先の社会保険に加入するか、市区町村の国民健康保険や国民年金に加入して全額自己負担で保険料を支払う必要がありました。
なぜ「働き控え」が起きていたのか
これらの壁、特に「106万円」と「130万円」の社会保険の壁に直面すると、労働者は社会保険料の負担によって一時的に手取りが減ってしまう「手取りの逆転現象」に陥ります。

従来、被扶養者の収入判定は「過去の収入実績」や「現在の勤務ペースから推測される年間収入見込み額」といった実態を基に行われることが多く、労働者は年末にかけて常に収入超過の不安に晒されていました 。
そのため、年末になると「これ以上働くと扶養を外れて手取りが減ってしまう」と考え、シフトを減らしたり休業したりする「意図的な就業調整(働き控え)」が社会全体で常態化していました 。
サラリーマン世帯においては、配偶者の働き方をこの壁の内側に収め、目先の手取りを最大化することが、これまでの一般的な家計防衛策だったと言えます。
ただ、個人的には「あんまり気にせずに働ける分はしっかり働け(ただし子供は除く)」という意見です・・・
壁を越えやすくなった時代背景
しかし、最低賃金が全国的に上昇を続け、物価高による慢性的なインフレ圧力がかかる中、労働時間を変えなくても賃金要件である「月額8.8万円」や「年収130万円」を自然と超過してしまうケースが増加しました 。
従来の「壁の内側に逃げ込む」という防衛策は、もはや現実的ではなくなりつつあったのです。
今回は、これまでの制度における各壁の数字の意味と、働き控えが起きていた背景についておさらいしました。
次回、第5回では、2026年現在に進行している「税制と社会保険制度の大変革」について詳しく解説します。これまでの常識がどう変わり、私たちの働き方にどのような影響を与えるのかを考えていきます。
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