働き方の壁を味方にする 第5回〜これから制度はどう変わるのか〜

FIRE

こんにちは、FP-kawaです。このブログでは、経済的自立と早期リタイア、いわゆる「FIRE」を目指すサラリーマンの皆さまに向けて、お金に関する様々な情報をお届けしています。

連載第5回となる今回は、まさに現在、大きな転換点を迎えている「税制と社会保険制度の大変革」について解説します。

前回おさらいした「103万円」や「106万円」といった従来の常識は、現在位置する2026年において大きく姿を変えつつあります。この変化を正しく理解することが、今後のFIRE戦略を構築する上での最も重要な土台となります。

所得税の非課税ラインが「178万円」へ拡大

これまでパートタイム労働者などの就業調整の主因とされてきた税制上の「103万円の壁」は、近年の税制改正を経て劇的な緩和を遂げました。

所得税が課税されない給与収入の上限(課税最低限)は、2024年分までの長きにわたり103万円に据え置かれていましたが、2025年分において160万円へと飛躍的に引き上げられました。

そして、今年2026年度の税制改正において、ついに「178万円」へと到達しています。この178万円という水準は、全納税者に適用される基礎控除額104万円と、給与所得者に適用される給与所得控除額74万円を足し合わせたものです。

これに連動して、配偶者の税務上の扶養に入るための所得要件も、従来の103万円から「131万円」へと引き上げられています。

この税制上の非課税枠の劇的な引き上げにより、「所得税を払いたくないから働く時間を減らす」という税務的観点からの働き控えは、一定解消へと向かいつつあります。

社会保険は「週20時間基準」へと一本化

税金の壁が後退する一方で、手取りに直結する「社会保険の壁」には、それ以上の大きなパラダイムシフトが起きています。

これまで、短時間労働者がご自身の勤務先で社会保険に加入する義務が生じる基準として「106万円の壁(月額賃金8.8万円以上)」が存在していました。

しかし、2026年10月に施行が予定されている年金制度改正法により、この収入要件が完全に撤廃される見込みです。

これにより、社会保険加入の判定基準は「週の所定労働時間が20時間以上であるか否か」というシンプルな労働時間基準へと移行します。

年収がいかに低くても、雇用契約上の所定労働時間が週20時間を超える場合は、原則として社会保険への加入が義務付けられることになります。「106万円の壁」という収入による概念は消滅するのです。

企業規模を問わず、加入が当たり前の時代へ

さらに、この社会保険の適用拡大は、勤務先の企業規模にかかわらず段階的に進められています。

2024年10月の時点で「従業員数51人以上」の企業が対象となっていましたが、この要件も今後約10年をかけて完全に撤廃される明確なロードマップが敷かれています。例えば、2027年10月には36人以上、その後も段階的に縮小され、最終的には小規模事業所を含むすべての企業が対象となる予定です。

これは、国が「働くのであれば、社会保険料を納付し、自立した社会保障の担い手となれ」というメッセージを発していることに他なりません。配偶者の扶養に留まる(第3号被保険者でいる)ことのできる層は、年々狭まっているのが現実です。

変化をどう捉え、どう活かすか

税金がかからなくなった一方で、社会保険の網の目は大きく広がりました。この制度間の不整合とも言える状況は、労働者に新たなジレンマを与えているのが現状です。

しかし、視点を変えれば、これは「週20時間働けば、どの企業に勤めていても手厚い社会保険の恩恵(公的保障)を受けられる時代」が到来しつつあることを意味します。

この変化は、これからの働き方やFIRE戦略に多大な影響を与えます。

次回、第6回からは、この新しい制度環境をFIRE戦略にどう活かすのかについて、具体的に解説していきます。まずは完全リタイアを目指す「ファットFIRE」における考え方からお話ししますので、引き続き一緒に学んでいきましょう。

本ブログでは、皆さんからのコメントをお待ちしています。どうぞよろしくお願いします。

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