第4回:やり過ぎ注意!資産分散にあたって注意すべきこと

分散投資

こんにちは、FP-kawaです。このブログでは、経済的自立と早期リタイア、いわゆる「FIRE」を目指すサラリーマンの皆さまに向けて、お金に関する様々な情報をお届けしています。

前回は、労働力や日本国内に偏った資産状況を、どのように世界へ、そして多様なアセットへと分散させていくかという私の戦略についてお話ししました。

リスクを分散し、自分だけの「負けないポートフォリオ」を構築することは、FIREへの道のりにおいて不可欠な工程です。しかし、実はこの「分散」という作業には、多くのサラリーマン投資家が陥りがちな2つの大きな罠が存在します。

今回は、「分散の質」をテーマに、効率的に資産を形成するための注意点を深掘りしていきましょう。

注意点1:分散しているつもりが、実はできていない「重複」のリスク

まず一つ目の注意点は、「自分では分散しているつもりでも、中身を見れば同じものに投資していた」というケースです。

例えば、投資信託(ファンド)をいくつか保有している方を例に挙げてみましょう。 「A銀行で勧められた全世界株式ファンド」 「B証券で自分で選んだ米国株S&P500インデックスファンド」 「勤務先の確定拠出年金(iDeCoなど)で運用している外国株式ファンド」

これら3つに資金を分けていれば、一見すると3つの場所で分散投資ができているように見えます。しかし、それぞれの投資信託が組み入れている銘柄を詳しく見てみるとどうでしょうか。

ファンドの種類主な投資対象米国企業の割合主要な上位銘柄(例)特徴
全世界株式(オール・カントリー)世界中(日本含む)約60〜70%Apple, Microsoft, NVIDIA, Amazonこれ一つで世界に分散できるが、実態は米国の影響が非常に大きい。
米国株式(S&P500)米国の主要500社100%Apple, Microsoft, NVIDIA, Amazon全世界株式の上位銘柄とほぼ同じ。併用すると米国への集中投資になる。
先進国株式(除く日本)日本以外の先進国約70〜75%Apple, Microsoft, NVIDIA, Amazon全世界株式から日本を除いたもの。これも米国IT企業が主役。

現在の時価総額の構成上、全世界株式ファンドの約6割以上は米国企業が占めています。また、米国株ファンドや外国株式ファンドの主要銘柄は、いわゆる「ビッグテック」と呼ばれる巨大IT企業であることがほとんどです。

結果として、異なる商品を買っているつもりでも、実は「米国の大手IT企業」に資金の大部分が集中してしまっているということがよくあります。これが「分散の罠」です。

本当の意味で分散を考えるのであれば、以下のような視点を持つことが重要です。

・相関関係を意識する 一方が上がれば、もう一方が下がる(あるいは影響を受けにくい)関係にある資産を組み合わせることです。例えば、株式と債券、あるいは株式と金(ゴールド)などがその代表例です。

・投資対象の「中身」を透かして見る 商品名ではなく、その商品が「どの国の、どの業種に、何%投資しているか」を把握しましょう。同じ箱を複数持つのではなく、違う中身が入った箱を並べることが、本当の意味でのリスクヘッジになります。

注意点2:分散させすぎて資産形成が進まない「希薄化」のリスク

二つ目の注意点は、一つ目とは正反対の悩みです。リスクを恐れるあまり、資産を細かく分けすぎてしまい、せっかくの投資効果が薄まってしまう現象です。

「少額ずつ、投資信託も、金も、暗号資産も、不動産クラウドファンディングも、個別株も、外貨預金も……」

このように、あらゆるものに手を出しすぎることは、特に資産形成の初期段階(種銭を作っている時期)においては、効率を著しく下げる可能性があります。これを私は「分散のやりすぎによるエネルギー不足」と呼んでいます。

分散しすぎることによるデメリットは、主に以下の3点です。

管理コスト(時間と手間)の増大 投資先が増えれば増えるほど、それぞれの価格変動やニュースをチェックする時間が増えます。忙しいサラリーマンにとって、管理しきれないほどの投資先を持つことは、判断ミスや機会損失を招く原因になります。

手数料の積み重なり 投資先ごとに口座を分けたり、少額で複数の取引を行ったりすると、それぞれの場所で手数料が発生します。大きな資金で一箇所に投資していれば抑えられたはずのコストが、分散によって膨らんでしまうのです。

成功のインパクトが小さくなる 例えば、ある投資先が2倍に値上がりしたとします。しかし、そこに全資産の1%しか投じていなければ、資産全体への貢献度はわずか1%増に過ぎません。リスクは抑えられますが、資産を大きく増やすというFIREへの推進力も削がれてしまうのです。

適正な分散を見極めるための考え方

では、私たちはどうすればいいのでしょうか。大切なのは、自分の資産ステージに合わせた「集中と分散のバランス」です。

資産ステージ運用のスタンス推奨される分散の範囲理由
【導入期】0〜1,000万円集中と継続1〜2つのインデックスファンド
(例:全世界株式のみ)
資金が少ないうちは、分散しすぎると管理の手間だけが増え、増える実感が湧きにくいため。
【拡大期】1,000〜3,000万円コア・
サテライト
投資信託(コア)
+ 高配当株・個別株(サテライト)
資産の核(コア)を維持しつつ、配当金などの「目に見える成果」でモチベーションを維持。
【安定期】3,000万円〜真の資産分散株式 + 債券 + 不動産
+ ゴールド + 現金
守りの姿勢を強化。インフレ対策や大暴落時のクッションとして、異なる性質のアセットを組み込む。

・資産形成期(~1000万円程度まで) この時期は、あまり細かく分散しすぎず、信頼できるインデックスファンド(全世界株式や米国株など)を核として、シンプルに積み立てるのが効率的です。投資先を増やすことよりも、まずは「入金力」を上げ、核となる資産を太らせることに注力します。

・資産拡大・防衛期 資産が一定の規模に育ってきた段階で、初めて不動産やコモディティ(貴金属など)、あるいは特定の国やセクターへの個別投資を検討し、ポートフォリオに厚みを持たせていきます。

分散は、あくまで「致命的なダメージを避けるため」の手段であり、目的ではありません。自分の目が届き、管理しきれる範囲内で、最も効率的にリターンが得られる配分はどこか。それを常に問い続ける必要があります。

さて、ここまで「分散」のメリットと注意点をお伝えしてきました。次回は、より具体的に資産をどう組み合わせるべきか、サラリーマンならではの戦略についてお話ししたいと思います。

本ブログでは、皆さんからのコメントをお待ちしています。どうぞよろしくお願いします。

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